教授挨拶
本学医歯学総合研究科
口腔再生再建学分野・口腔インプラント科
教授・診療科長丸川恵理子
本学における当分野の歴史はまだ浅く、2001年に本学歯学部附属病院インプラント外来が発足し、2004年インプラント・口腔再生医学分野として春日井昇平教授が赴任され、正式に本学大学院に加わってからとなります。この度、学内の学部編成替えや医学部附属病院・歯学部附属病院の統合など機構改革も進められ、2021年8月1日より口腔再生再建学分野の教授として引き継ぐこととなりました。
当分野の主に目指すところは、口腔において何らかの理由で失われた骨・歯肉を再生し、失われた歯を歯科インプラントで咬合再建を行うことです。再生医療は、特に京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞を開発されてから急速に進み、様々な医療分野で目覚ましく発展してきました。当分野においては、特に「骨再生」が長年の研究テーマとして取り組まれてきました。現在は、多くの人工骨材料が顎骨領域への使用において承認され、自家骨採取を行わなくても良い、もしくは自家骨採取量を減らすことができる症例が増えてきました。しかし、未だ自家骨採取が必要な症例は多く、簡単に誰でも行える治療ばかりとは言えない状況です。歯科インプラント治療に伴う骨移植を行えば、半年以上も骨再生期間を待ち、咬合できるまでには1年近くかかるような患者さんもいます。私たちはそのような現状を鑑みて、自家骨採取を行わなくとも済むように、より早期に骨再生を可能にするような顎骨再生研究に引き続き取り組んでいきたいと考えています。
口腔インプラント治療は、口腔外科、歯周病、補綴といった全ての歯科分野を総合的に理解しておく必要がある、アドバンスな治療です。したがって、大学における当分野の役割は極めて重要であると思っています。学生や研修医への教育に始まり、あらゆる歯科医師への情報発信や教育・指導に尽力していかなければならない立場にあり、これらを十分に行える優秀な指導的歯科医師を育成し、世間に輩出していきたいと考えています。また、各専門分野に分かれたチーム医療を行うことで、より難易度の高い症例においても解決すべく医療レベルの向上を図り、最新の医療技術や方法についても追求し、研究を重ねることで、実際の臨床現場においてそれらの成果を患者さんに還元できるよう、努めていきたいと思います。
患者さんの「食べる」「話す」といった日常的機能を回復させて、同時に見た目も以前の状態に限りなく近い状態に戻してあげることを目指して、より生き生きと幸せに暮らせる人々を少しでも増やすことができるよう、研究と臨床の両面において努力して参ります。本学における当病院においては、上記に述べた心構えで患者さんを受け入れ、お気持ちに寄り添える歯科医師であり続けられるよう、教室員一同、より一層励んでいく所存です。
略歴BIOGRAPHY
- 1997年3月東京医科歯科大学歯学部卒業
- 2000年2-3月ドイツFreiburg大学顎顔面外科に留学
- 2000年3月東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了
- 2000年4月東京医科歯科大学歯学部附属病院口腔外科 医員
- 2002年4月日本学術振興会 特別研究員
- 2004年8月東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎口腔外科学分野 助教
- 2013年4月東京医科歯科大学歯学部附属病院口腔外科 講師
- 2014年6-8月ドイツFreiburg大学顎顔面外科に留学
- 2017年4月東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎口腔外科学分野 准教授
- 2021年8月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔再生再建学分野 教授
現在に至る。
専門医Specialist
- 日本口腔外科学会専門医・指導医、代議員
- 日本顎顔面インプラント学会 専門医
- 日本再生医療学会認定医
専門分野Specialized field
- 歯科インプラント治療 歯の再植・移植 顎骨再生
研究領域Research area
- 口腔組織(硬・軟組織)再生医療
- 新規骨補填材の開発・臨床研究
- 新規歯科インプラント材料・材料表面性状の開発・臨床研究